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基礎自治体の手に負えない問題や地域的な共通問題の解決のために契約に基づく公共団体=政府法人を作るというのが基本であって、都道府県と市町村の二層制という大枠のなかでそれ以外の様々なヴァリエーションがあってもおかしくはないからである3)。
2.自治体間提携のありかた
(1)広域提携の試みと形態
自治体連合・提携の前提となる地域には、地理的に連結した地域や地理的に離れていても共通課題を持つ地域、さらには共通性はないが欠けているものを相互に補う地域が存在している。例えば、山や川などの自然、道路や鉄道という人工物等によって地理的に区切られた地域やそれらに沿った地域、歴史的に共通する経験を共有する地域、環境汚染や都市問題という共通の問題を抱えた地域などがある。そうした地域に位置する自治体の連合あるいは提携の形態には多様なヴァリエーションが考えられる。
鳴海正泰は、広域行政を自治体間の共同事業・協力関係として広く把握することによって、全国で展開されている自治体の横割りのネットワークを類型化している4)。この類型を参考に、事例を追加することによって連携パターンを見ることにしよう。
?@自治体間援助友好型=自治体間の友好交流を目的としたふるさと・歴史・文学・音楽に関連する<姉妹都市>や<同一名称都市会議>などがこれに当たる。姉妹都市関係が発展した形態として、川崎市と山形市の間に見られるような<災害時相互援助協定>といった具体的な協定を結ぶものもある。
?A地域おこし連帯型:過疎自治体の連帯を計る秘境町村会議やないない自治体サミットのほか、海峡を挟む自治体が共通する問題を検討するとともに地域おこしを狙った「海峡フォーラム」がある。その他にも、中野区と福島県三島町や調布市と長野県木島村に見られるような都市・過密自治体と過疎・農村自治体が提携する例がある。
?B地域問題協同解決型:これは事実上の広域行政といってよく、宮城県4町間で遊びから共同事務処理へと発展した「みやぎ北上連邦」、大都市圏の郊外都市を中心に連携を計る「湘南広域都市行政協議会」や「阪神都市間協議会」、さらには水源を同じくする矢作川流域17市町村が水質汚染を護ることを目的に共同してゴルフ場と協定を締結した例がある。県レベルでは、国道246号線沿いの神奈川・静岡両県の20自治体が県際協定を結んでいる。

 

 

 

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